
ジェイアールバス関東株式会社
感覚に頼らず、「安全」を数値化 ジェイアールバス関東が活用する 「バス運転データ収録システム」
バスの運行において、根幹を成すのが「安全」であり、日本各地を結ぶ高速バスや、一般路線バス、貸切バスの運行を行うジェイアールバス関東株式会社でも、運転士の安全運転教育に力を入れています。 共和電業が同社にワンパッケージで納入した、「バス運転データ集録システム」について、ジェイアールバス関東株式会社 専務取締役 松橋 賢一氏に話を伺いました。
かつては運転士と教官の「感覚」頼みだった安全運転教育
―ジェイアールバス関東の事業内容を教えてください。
松橋:JR東日本グループの一員として、バス事業を行っています。メインとなる高速バスのほかにも、一般路線バスや、貸切バス、また、最新のシステムを取り入れたオンデマンドバス事業も行っています。バス事業の根幹はほかでもなく「安全」ですが、バスの安全の確保には、他の交通機関に比べ、運転士の注意力・運転操作に依存するウエイトがきわめて高いのが実情です。そこで、当社では、2013年6月に「安全研修センター」を設立し、運転士の安全運転教育のさらなる充実を図ることとしました。事故を未然に防ぎ、安全を確保するには、従来の感覚的な運転指導から、数値や映像による具体的な教育・訓練が不可欠と考えたのです。

松橋 賢一:ジェイアールバス関東株式会社 専務取締役
―ジェイアールバス関東の安全運転教育に、共和電業はどのように関わっているのでしょうか?
松橋:数値や映像による具体的な教育・訓練を実現するために、当社の運行ウエイトが高い高速道路運転にも対応した訓練専用車を製作しました。その訓練専用車に実装されたのが、共和電業さんにワンパッケージで納入いただいた「バス運転データ集録システム」です。左右のミラーステーおよびミラーに小型カメラが設置され、教官席(インストラクターシート) で左右側方の状況を確認できるほか、前方の車間距離を計測するミリ波レーダー、壁、ガードレールや他車との距離を測定し、運転者の体感感覚のズレをチェックできる側方距離計測センサー、運転者の眼球の動きを可視化できる視点計測装置(アイマークレコーダ)、そして、トランクルーム内に設置された、発進時、制動時、旋回時の揺れを数値で確認できる加速度センサーなどで構成されています。

訓練専用車
―共和電業の製品を導入するに至ったきっかけを、教えてください。
松橋:バス運転士の訓練頻度は、3年に1回。栃木県佐野市にある当社の安全研修センターでの訓練を義務づけています。以前、抱えていた課題は、ハンドルを握る運転士も、指導する教官も、「経験」や「感覚」を頼りにしていたということです。たとえば、発進前のミラー確認。運転士が「ミラーよし」と声に出してはいるものの、本当にミラーを見たかどうかは、教官にはわからない。また、アクセル・ブレーキのペダルワークも、「もっとやさしく踏んで」「もう少しゆっくり」など、定性的な言葉での指導にならざるを得ませんでした。

運転データ解析システム

訓練専用車に搭載されたCTRS-100A
客観的なデータに基づき、「安全」を可視化
―「バス運転データ集録システム」の利点や、導入後の手応えを教えてください。
松橋:個人の「感覚」頼みだった安全運転訓練が、「バス運転データ集録システム」を導入したことで、客観的なデータに基づく訓練へと、劇的に変化しました。先述した話で言えば、ミラー確認で、運転士が本当にミラーを見たかどうかをアイマークレコーダでチェックできますし、アクセルやブレーキの踏み具合、それによるGのかかり具合などをデータで示しながら運転士に指導できるようになりました。とりわけ、加速度センサーによって計測されるGのかかり具合は、乗客が感じる乗り心地にも直結する部分ですから、これを感覚ではなく、数値で指導したり、比較したりできるようになったのは大きいです。「ギュッと止まってはいけない」「ゆっくり踏んで」といった言葉での指導ではなく、アクセルやブレーキ開度の数値で指導できるのは、運転士にとっても、教官にとっても、“わかりやすさ”がまるで違いますから。

揺れ具合を測る3台の加速度計は白い箱の中に
―共和電業のサポート面はいかがでしょうか?
松橋:もちろん、「バス運転データ集録システム」を納入したらそれで終わり、というわけではなく、共和電業さんの手厚いアフターサポートにも助けられています。ちょっとした不具合などがあればすぐに対応してくれますし、先日も、システムのソフトウェアを最新のものにアップデートしてもらいました。現在は、中小のバス事業者、つまり、他社の安全運転研修も国から委託されるかたちで当社が行っているのですが、他の研修施設との大きな差別化ポイントとなっているのは、専用の訓練車があること、そして、「バス運転データ集録システム」があることにほかなりません。

インストラクターシートの確認用モニタリング画面
「バス運転データ集録システム」を、バス業界全体の「安全」の底上げに活かしたい
―今後の展望を教えてください。
松橋:繰り返しになりますが、バス事業の根幹は「安全」です。たとえば、旅客機で何か事故が起こったら、たとえ航空会社が違っても、飛行機に乗ること自体をためらってしまいますよね。バス事業も然りで、バス業界全体の安全性を底上げしていくことが重要であり、安全性を高めていくことによって、自家用車でも飛行機でもなく、バスを選ぶ人が増えていくと思うのです。もちろん、「安全」を大前提として、「バス運転データ集録システム」は乗り心地の向上にも寄与しますから、その快適性がリピーターの獲得にもつながると考えています。 AIなどを活用し、収集したデータをより子細に分析・比較できるようになれば、「バス運転データ集録システム」の有用性は一段と高まるのではないでしょうか。また、現状では高速バスの訓練車にシステムを実装していますが、システム自体をより小型化するなどして、街中の路線バスなどにも実装できたら、ビッグデータを収集でき、さらに安全性を高めていけますよね。「バス運転データ集録システム」の持つポテンシャル、可能性は想像以上に大きく、今後も共和電業さんと協力しながら、さらなる「安全」を追求していきたいと思います。

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