JR渋谷駅・線路切換工事におけるサンプリングモアレカメラの活用
概要
2023年1月9日(祝)の午前4時過ぎ、東日本旅客鉄道株式会社様*1による山手線外回り線路切換工事の最終チェックが行われました。工事後の線路に試験車両を走らせた際の架道橋のたわみ量計測にサンプリングモアレカメラが使われ、施工者*2の依頼を受け計測業務を当社が担当しました。
サンプリングモアレカメラとは
サンプリングモアレカメラとは、計測対象物に設置された2次元格子を1台のカメラで撮影することで、その画像から格子のX方向、Y方向の変位をリアルタイム演算により計測するシステムです。
遠隔、且つ非接触で橋梁などのインフラ構造物の多点同時モニタリングが可能となります。
また、500 fps以上の高速撮影により動的変位のピーク値を逃さず捉えることもできます。
現場での作業
計測準備
今回は2台のサンプリングモアレカメラを使用しました。架道橋の桁に2か所の2次元格子(以降はターゲット)を設置し、1台のカメラで1ターゲットをとらえ、計2チャネルの計測を行いました。
*今回は架道橋のたわみ量計測のため、格子のY(縦)方向の変位量を計測しました。
計測するうえで留意したポイント
- Point 1
- 夜間の計測であったため、ターゲットに照明を当てて格子を識別できるようにしました。
- Point 2
- トラックなどの背の高い車両が架道橋の下を通過する際、サンプリングモアレカメラの画角に車両が写り込まないよう、極力高い位置にカメラを設置しました。
- Point 3
- サンプリングモアレカメラに伝わる路面からの振動を極力抑えるため、三脚の脚をゴム脚にしました。
試験車両通過時の実測
作業を終えた工事関係者が集まり、試験車両を通過させて架道橋のたわみ量を計測する最終チェックが始まりました。たわみをリアルタイムで確認できたことで、その場で作業終了となりました。
実際の測定の様子は「JR東日本建設工事部門公式チャンネル」の「JR山手線 渋谷駅 第4回線路切換工事の舞台裏、全部見せます!」でご覧いただけます。
測定が始まるのは、14:40頃になります。
サンプリングモアレカメラの活用
今回は鉄道の架道橋のたわみを夜間に計測した事例を紹介いたしました。計測機器を販売するだけではなく、今回のように現場での計測業務を請け負うことも可能です。
また、本製品は架道橋や橋梁、さらには風力発電タワーといった各種インフラ構造物の変位計測をはじめ、工場関係ではクレーンの荷重による変位計測、プレス機などの稼働中設備の振動・変形計測、さらには家電製品のモータ振動計測など、他の様々な構造物の変位変形、振動計測に応用できます。
本製品およびその他計測に関するご相談・お問い合わせがございましたら、お気軽にご連絡ください。
*1 発注者:東日本旅客鉄道株式会社 東京建設プロジェクトマネジメントオフィス
*2 施工者:鹿島・清水建設共同企業体