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ひずみとは、材料に加わる外力に比例して材料が伸びたり縮んだりする変形の量のことで、このひずみを電気信号として検出するセンサがひずみゲージです。自動車、航空機、鉄道、船舶など各種の輸送機器や、超高層ビル、橋梁、発電設備などの土木建築構造物など、様々な大きさ、形状、材質の構造物が存在します。これらの構造物の強度を知る上での目安となる「応力」の測定は、過酷な条件で使用される機器、構造物の十分な強度や安全性の確保の面で欠くことができません。
斬新なデザインを実現したり軽量化をはかったり最適な材料を選択することと、強度や安全性の確保を両立させるための最適設計の追求のためには、応力値の把握は不可欠です。近年ではコンピュータによる応力解析の手法が進み、設計の分野でも導入が促進されていますが、ひずみゲージを用いた実験的応力計測は、現在もなお最も確実かつ実用的な手段として広く実施されています。
ひずみ=材料が伸びたり縮んだりする変形量
金属は変形すると電気抵抗が変わり、この電気抵抗変化を利用したのがひずみゲージ
一般に金属の電気抵抗の大きさは断面積に反比例し、長さに比例します。金属線を引張ると、断面積は減少し、長さは増加するために電気抵抗は大きくなります。また、圧縮すると電気抵抗は逆に小さくなります。金属の伸びまたは縮みと電気抵抗の変化は、一定の定数をもって比例します。ひずみを測定したい材料や構造物にこの金属線をしっかりと接着すれば、構造物の伸び縮みに従って金属線も伸び縮みするので、その電気抵抗の変化を測定することで材料や構造物の伸び縮み、すなわち「ひずみ」を求めることができます。
ひずみ量を知りたい被測定物にひずみゲージを接着し、ひずみゲージの抵抗変化を検出し、電圧変化に変換して増幅
ひずみゲージは被測定物と一体化して伸びたり縮んだりしなければならないので、専用の接着剤を使って接着する必要があります。ひずみゲージの電気抵抗変化を正確に測定するために、ブリッジ回路を構成し、電気抵抗の変化を電圧の変化に置き換えて測定します。その電圧の大きさはμ(マイクロ)V単位と小さいため、一般的にはひずみアンプを用いて5000~10000倍に増幅します。
共和電業のひずみゲージは、型式を見れば下記のようにどのような目的や環境に適しているのか、容易にわかるようになっています。被測定物や目的に合わせて、ひずみゲージの種類やゲージ長を選びます。
良好なデータを得るためには、ひずみゲージが被測定材に正しく接着されていることが必要です。ひずみゲージを接着する際には、相手の材質や測定条件に適した接着剤を選んで使用する事が大切です。常温環境下で汎用箔ひずみゲージKFGSを用いて一般応力測定を行う場合、瞬間接着剤CC-33Aが一般的に多く使われています。硬化時間が短いため接着の作業性が良く、接着後、約1時間で測定が可能になります。
共和電業のひずみゲージは、静的なひずみから、衝撃などによって発生する数百kHzの動的なひずみまで測定することができます。ただし、計測の目的によって適切なひずみアンプやデータロガーを選択する必要があります。
時間的に変化が遅い、ほとんど変化しないひずみを「静ひずみ」、変化の速いひずみを「動ひずみ」と呼んでいます。
ただし、「静ひずみ」と「動ひずみ」の境目には、明確な定義はありません。
ひずみゲージの出力とひずみの関係
一般的にひずみゲージは、下図のようなホイートストンブリッジと呼ばれる、微小な抵抗値変化の検出に適した電気回路に接続します。ひずみゲージの抵抗値をR(Ω)、伸びまたは圧縮によって生じた抵抗値変化を△R(Ω)とすると、ひずみεは以下の式で求められます。
上式のKはゲージによって固有の比例定数で、ゲージ率と呼ばれます。共和電業の一般的なKFGSゲージでは、約2です。
ブリッジ回路に電圧Eを印加し、ひずみゲージの抵抗値R(Ω)、伸びまたは圧縮によって生じた抵抗値変化△R(Ω)は、出力電圧eは以下の式で表されます。
ひずみと応力の関係
物体あるいは材料の応力を直接知ることは一般的には困難であるため、応力の存在によって発生する「ひずみ」を計測することで、応力を知ることができます。
応力とひずみは、弾性領域内において比例関係にあるというフックの法則に基づき、ひずみゲージを用いてひずみを測定することによって、応力を知ることができるのです。このため、ひずみ測定と応力測定とは一般的に同義語として用いられています。
このように、材料に加わる力と断面積がわかれば、応力は計算によって求める事ができます。しかし、複数の構造物が組み合わされ、各部材に伝達される荷重の負荷条件や固定条件などが複雑な場合は、計算で精度の高い結果を得るのは困難です。そこで機器の安全設計のためには、計算で求めた応力値をもとに機器の設計を行ない、実際に機器を組み立てた状態でひずみゲージを用いて実験的に実物の応力値を計測することで安全性を検証することが広く行なわれています。
※「ひずみ」は伸び率(縮み率)のため、無名数で単位はありません。非常に小さい値を示すので、一般には1×10-6(マイクロμ)といいます。
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